曲のために開けておく扉
Dimlyの原点はシンプルな信念です。ミュージックビデオは曲に行き先を与えながら、リスナーがたどり着くための余白も残しておくべきだ、ということ。

静かな部屋です。誰かの手が再生ボタンを押します。3小節目までに、頭の中に一本の道が浮かびます。街灯はともっていて、誰かがちょうどフレームの外へ歩いていったところです。
Dimlyはそこから始まります。
曲を先に聴く
サビが始まると、肩の力が抜けます。足がドラムに合わせて動きます。音が伸びると、手が空中で止まります。映像はこうした小さな動きの中で生まれ始めます。
あなたは自作の曲、あるいは使用許諾のある曲を持ち込みます。何度も戻ってくる部分を選ぶのはあなたです。Dimlyはその周りにシーンを組み立てていきます。人物がどこから入るか、光がどこに落ちるか、最後の音のあとカメラがどれだけ留まるか。15秒のChorus Cut(サビから切り出す見せ場シーン)が、それ自身の始まりと終わりを備えて形になっていきます。
扉を開けておく
開いた扉の内側に椅子があります。廊下からの光が椅子の脚まで届きます。背もたれは影の中。隣の部屋から声が聞こえます。カメラは扉のところで待っています。
私たちはこのくらいの距離を残すのが好きです。顔が窓の方を向く。雨が通りの半分を覆う。人影がフレームの端に止まっている。リスナーには、自分だけの部屋を、あの日の雨を、かつてそこに座っていた誰かを思い出す余地が残ります。
それでも決めるべきことは残っています。扉をどれだけ開けるか、椅子をどこに置くか、カットがどの音に寄り添うか。これらが映像に形を与え、聴いている人のための場所を残します。
もう一組の耳としてのディレクター
「このサビは、夜明け前の駅のようだ」とあなたが言えば、Dimlyはそれをトリートメント(演出案)に起こします。人気のないホーム、まだ灯りがともり、風がコートの裾を持ち上げる。人はじっと立ち、カメラは近づいていきます。
あなたはそれを読み、カメラをもう少し引いて、人をもう少し長く立たせます。会話は続き、曲がもう一度かかります。一文として始まった感情が、今や話し合える映像を手に入れました。
ショットを組み立てる
曲が別れの場面に達したら、カメラはテーブルに留まってもいい。二つのカップ。片方はもう冷めている。誰かは去り、部屋の音だけが続いています。
次はテイクを選び、並べ、元の音源を戻し、必要な箇所に字幕を足す作業です。カップの次は、窓にするか通りにするか。曲を流しながら、一つひとつを並べて見比べます。私たちが注意を注ぐのは、この時間です。
薄暗い光の中で
Dimly。光は暮れていきます。窓枠はまだ見え、部屋の中の形がひとつに溶け合い始めます。この光の中で、私たちはもう少し長く聴いてしまうのです。
帰り道で聴いた曲がひとつの記憶を呼び起こし、同じ曲が空っぽの部屋では別の記憶を呼び起こします。私たちは光と人とカメラを整え、扉は開けておきます。
最後の音が消えていきます。椅子はまだそこにあり、扉の光は薄くなっています。

